社報LEVEL
土木遺産 耶馬渓橋(大分県下毛郡本耶馬溪町・1923年完成)

土木遺産とは、土木学会が1991年度から全国調査にかかり、西洋の近代土木技術が導入されてから第二次世界大戦以前までに造られた土木施設のうち、「技術」「意匠」「系譜」の3つを評価基準に選んだものです。 LEVELでは、これらの中から特に優れていると選定された、九州の代表的な近代土木遺産を紹介していきます。

 大分県の耶馬渓にある耶馬渓橋は、石橋としては国内最大の長さ116mを誇る8連アーチです。菊池寛の小説「恩讐の彼方に」の舞台となった青の洞門の下流に位置し、別名オランダ橋と呼ばれています。また上流約5.3・の馬溪橋、同約1.3・の羅漢寺橋と合わせて「耶馬三橋」と呼ばれ、県の有形文化財に指定されています。  耶馬渓橋は、中津土木管区事務所に勤務中だった陸軍の工兵中尉・永松昇県技師によって設計されたもの。地元の石工や院内町の石工が関わって、道路費も含めて4万円余りで行われたそうです。1923年(大正12年)の橋の完成までは、川の両岸に対峙する樋田地区と曽木地区とを結ぶ交通手段は渡し船、もしくは遠回りして迂回するしかありませんでした。「大雨で川が流れたら、対岸には渡れない。親の死に目に会えないから、曽木には嫁をやるな」という言い伝えも残っています。  耶馬渓橋の完成から、今年でちょうど80年。建築資材の主流も石から鉄筋コンクリートへと移り、石工の数も激減しています。しかし、この耶馬渓橋が見せる、当時の石工の技術力と長方形の石を積み上げた力強い造形美は、いつまでも後世に受け継がれていくことでしょう。

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